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北陸および北海道新幹線の延伸工事
会社史上、最大規模のプロジェクトを推進

PROJECT STORY鉄道電気設備

PROJECT MEMBERプロジェクトメンバー

天野なつみ
鉄道事業部 営業部 営業グループ
文学部卒
入社年度 2002年
市原 健太
鉄道事業部 電力部 電灯電力工事グループ
情報ビジネス学科卒
入社年度 2007年
若井 治男
鉄道事業部 電力部 電灯電力工事グループ
電気科卒
入社年度 2008年

北陸新幹線の延伸工事および北海道新幹線工事は、受注金額100億以上におよぶ東邦電気工業でも最大規模のプロジェクトだった。もちろん、すべてが順調に進んだわけではなく、お客様との折衝、現場でのトラブルや困難にも直面した。だが、足掛け3年間に渡るこれらの経験は、携わったメンバーが「自分の大きな成長を実感できた」と口を揃えるほど、貴重な経験となった。

勢200名を超えるメンバーが
従事した1大プロジェクト

2015年3月14日に開業した北陸新幹線の延伸工事、そして2016年3月26日に新青森駅と新函館北斗駅間が開業した北海道新幹線工事において、東邦電気工業は通信・信号・電力・電車線・変電の5系統の工事、総額100億円規模のプロジェクトを受注した。
「現場事務所は7か所におよび、当社のメンバーだけでも約70名が、協力会社を含めると総勢200名を優に超えるメンバーが従事しました。鉄道事業だけでなく当社全体におけるこれまでで最大規模のプロジェクトでした」と営業部の天野なつみは振り返る。

当時、天野が担当していたのは、各事務所の事務管理業務だった。

施工担当者はこのプロジェクトのために社内の各事業所から集められたメンバーのため、現地での賃貸住居の申請や所属異動に関する社内文書の作成、現地事務所の賃貸契約、リース物品の管理、事務所と住居のさまざまな支払いに関する伝票の作成、ETC/ガソリンカードの管理などの業務を通じて、現地のメンバーをサポートした。

さらに、月1回開催されるプロジェクトの合同会議の運営、出張手配までも一手に引き受けていた。

プロジェクトに異動する前は経営管理部門の経験しかなく、現場のメンバーと直接やり取りをする機会が限られていたという天野。それがプロジェクトに異動してからは電話や対面での依頼事が多くなった。
「初めは、顔と名前が一致しない方ばかりで戸惑いが大きかったですね。それでも会話を重ねる中で、接し方を改めて学ぶと共に、日頃のコミュニケーションの大切さを強く感じました。当社は施工管理会社なので、施工部の皆さんあっての会社です。人事・総務から異動する前は現場の大変さを知りませんでしたが、プロジェクトに異動してからはなるべく皆さんの負担を減らすよう心掛けました」

場の全責任を担う重圧と
東邦ブランドを背負う誇り

プロジェクトの中で、北陸新幹線の延伸工事における石川県内のトンネル照明などの数多くの電灯電力設備をはじめ、28Kmにもおよぶ高圧ケーブルの新設工事を担当したのが市原健太と若井治男だ。それぞれ現場責任者として現場事務所に常駐し、工事がお客様との打合せ通りに施工されているかなどを確認しながら、協力会社をはじめとする多くのメンバーと協力して、工事の完了を目指した。
「私は現場代理人として工程管理、安全管理、品質管理、その他発注者や他業者との交渉のすべてを担いました。現場代理人は自分の思い通りに工事を進めることができる半面、すべての責任を負います。加えて現場は、常に自分達だけで仕事をしているわけではありませんから、自分達の工事工程だけでなく、常に工事全体の状況を把握するよう努めました」と市原。

例えば、担当した白山の車両基地だけでも東京ドーム3個分と広大で、取り付ける照明設備は1000を超える規模になる。
「それだけに的確なスケジュールを組んで、確実に実施していかなければなりません。一方、豪雪地帯ですから冬場などは天候の影響も大きい。工事の進め方、やり方によって得意先、他業者、協力会社へ迷惑を掛けることになるので、常に綿密な打合せをして細かな事でも報告・連絡・相談は欠かさないよう心掛けました」と市原は語る。

一方、監理技術者として施工計画、工程管理、品質管理を行い、工事従事者への指導監督的立場の若井は、大規模なプロジェクト工事を担当したのは今回が初めてだった。工事着手から新幹線開通までの現場施工や検査の流れを学ぶことができたことは貴重な経験となった。
「作業の流れの中で安全は第一。急がずあわてず判断することを意識しましたし、協力会社の方々との信頼関係を構築することにも力を注ぎました。ただし、設計図を元に施工図を作成し、お客様の承認を受けて、現場作業員への指示をするまでは時間との戦いです。その一方で、万一にも工事に不備があれば、開業に支障を来しかねません。工期内に高品質な電気設備を提供する東邦ブランドを自分が背負っているということを実感しました」と若井は語る。

規模プロジェクトの
貴重な経験を次に活かす

2012年にスタートした北陸新幹線の延伸に伴う工事は、2015年の年初までに無事完了し、各工事事務所は閉所を迎えた。
「あれだけ活気のあった各事務所が閉所を迎える時は、少し寂しさがありましたね。今回、自分が直接関わった工事が無事に竣工して、仕事の手ごたえを改めて強く感じました。それがきっかけで自ら手を挙げて今の営業職を希望しました」と天野。今後は自らの手で大型案件を受注することが目標だ。

若井は「初の新幹線プロジェクトでしたが、検査で国の検査員やお客様から指摘事項がなく、お褒めの言葉を頂いた時はやはり嬉しかったですね」と語る。

3年間、現場での施工とマネジメントを経験した市原と若井にとって、2015年3月14日の開業はとりわけ感慨深いものだった。
「私たちにとって仕事のやりがいは、目に見えるモノとして残ることです。工事開始時はまだ橋脚やトンネルなどの構造物が完成する前ですから何もない。その風景の中に数年後に実際に新幹線が走ることになるのです。担当した工事区間に新幹線が入線した瞬間は今も鮮明に憶えています」と市原は振り返る。

工事関係者には試乗の機会が設けられているが、二人はあえて自費で開業直後の北陸新幹線に乗車した。200Kmを優に超える新幹線では、担当した区間は一瞬で通り過ぎるが、「それでも熱いものがこみ上げてきた」という。

これほどの大規模プロジェクトに関わる機会はめったになく、「その貴重な経験を通じて、自分の大きな成長を実感できた」と各メンバーは口を揃える。それは次の仕事においても確実に活かされている。